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ナースなロンドン ~Nursing in London~

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暴力的な患者

昨日、おとつい、と受け持った患者さんが大変だった・・・。



脳内出血で入院してきた患者さん。
ITUからうちのMU(Monitored Unit)に降りてきて2週間ほどになる。
ITUでも脳層ドレーンを引き抜いたそうだが、
この2週間の間にいったいどれだけのドレーンを引き抜いただろう。
挙句の果てに4日前には自ら気管切開部のチューブも抜いてしまった。
まあ、そのままで大丈夫なんだから、不要なチューブを入れっぱなしにしておいたこっちにも考えるところはあるけれど・・・。

むかし、私が看護師になりたてのころは、こういった患者さんに「抑制」の名のもとに手かせ、足かせをつけていた。
それ専用の器具も売っていたくらいだ。

こちらに来て感心したのは、こういった患者にスッタフを一人ないしは二人つける予算を持っていることだ。このスッタフはSpetialと呼ばれ、だいたいはNursing Assistantが担当する。
ときにはRMN(Registered Mental Health Nurse)をつけるときもあれば、あまりにも暴力的な患者さんにはSecurity Staffをつけることもある。
こういったことがNHS予算の首を絞めているのかもしれないけれど・・・。

こういった患者さんに対するスタッフの対応もそれぞれ。
①何とか理由をつけて近寄らないようにする人
②普通の患者と同じように笑顔で接する人
③押さえつけてでもケアをしようとする人
④患者の意思を尊重しようと努める人

もちろん必要なケアはしなければならないし、しようと努力はするのだけれど、やっぱり自分が怪我するのはいやだから、「What can I do?」と言って無理には何もしないナースが多い。

そうした結果、私が受け持ったおとついには、患者の電解質かかなり狂っていた。
ソディウムとクロライドが高い。
ポタシウム、マグネシウムは何とか正常範囲内。
一日に3回行くはずの抗生物質の点滴も一日に1回程度になっていた。
患者さんにはIVラインもNGチューブ(鼻から胃に挿入されるチューブ)も、アクセスが何もない。
入れても、入れてもすぐに引き抜いてしまうからだ。

私はどちらかと言えば③と④の間のスタッフだと思う。
これに②が出来れば言うことないのだが、さすがにそこまでにはなれていないなあ、と思う。

夜勤のスタッフは②と④の人だった。
「NGチューブを入れようと思ったのだけれど、彼がもうちょっと後でというから、まだやっていない」とのコメントに私と一緒に働いたファラにはちょっと自嘲的な笑みが浮かんでいたのだと思う。
夜勤スタッフのビニは「本当よ。彼は、話せばちゃんと納得して、ちゃんとケアを受け入れるわ。昨日はわたし一人でチューブを入れたんだもの。彼は、あと2分、いや5分待って、っていうのよ。ちゃんと話して、コンセントを得られれば・・・」
まあ、正論ですけどね。
結局血圧の薬も行っておらず、160近いんだけどね。脳出血の原因のひとつは高血圧なんだけどね。

コンセントがと言い続けて、ケアを延期した結果が、この血液検査の結果に表れているのではないのだろうか?
もちろん口からものを取れるように、努力はしている。日勤帯では、きちんと座らせて、少量の水を飲ませてみたりもしたけれど、咳き込みが激しく、どうも安全とは言いがたい。
そうした以上は、何かしらのアクセスが必要なのだ。

わたしとファラは、スペシャルのアシスタントとともに、なだめすかしながら、時には押さえつけて、IVアクセスをとり、NGチューブを入れて、薬と水分を入れ、そして、またチューブは抜かれてしまった。

患者さんにとっては、ケアは苦痛以外の何物でもないだろう。
でも、何かをしなければ、いつかはどんどん悪化していってしまうのも確かなのだ。
それを、患者のコンセンサスが得られないからといって、努力はするにしても、次に、次にと持ち越していくのか、それとも、強要してまでも、ケアをするべきなのか。
わたしにも答えは分からないけれど。
何か行動を起こさなくては、わたしの気がすまないのだ。
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by mango55mango | 2007-11-27 22:12 | 病棟の毎日 | Comments(0)
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